おはようございます。
大阪泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院です。
今日は11月14日に行ってきた滋賀県にある山正さんに行ってきました。
業界では有名ですが一般の方には伝わらない会社かもしれません。
山正さんはお灸の会社です。
お灸の製造・加工をしている会社で、鍼灸師や学生さんには有名な会社になります。
以前私が主催する会で、オンライン工場見学をさせていただきましたが
今回は滋賀に行き直接見学をさせていただきました。
山正とは

創業明治28年 もぐさの伝統をまもりながら
東洋医学の発展に取り組む鍼灸材料総合メーカー
鍼灸業界では知らない人はいない会社ですね。
モグサの製造・加工、台座灸や棒灸、鍼の販売などをされています。
お灸の種類
一般の方向けになりますがお灸の紹介です。
お灸といっても種類があります。
大きく分けて5種類あります。
- 点灸モグサ
- 温灸モグサ
- 膈物灸モグサ
- 灸頭鍼用モグサ
- 棒灸
点灸用モグサは最高級品のモグサで
米粒の大きさで使うことが多いです。
灸頭鍼用モグサは鍼につけて使うモグサで落ちないように粘りが重要になります。
膈物灸と温灸モグサは
上記二つのモグサよりは精製度は違いますがゆっくりと燃えるので、長く温めたいときに使います。
棒灸は棒状のお灸で、葉巻みたいな感じを想像してくれれば分かりやすいと思います。
各モグサに明確な基準があるわけではなく
モグサを作る各社が独自に研究し、自社のモグサを作られています。
その違いを知りたくて、2025年度に私の主催する会で、日本で販売するモグサを全て購入し
使い比べの勉強会をしました。
100万円以上お金はかかりましたが新しい気づきもありました。
実際には日本だけではなく、中国、韓国、台湾のモグサもご用意し
参加者には購入したモグサを配らせていただきました。
今回の工場見学でも点灸用のモグサに「ゴマ」と呼ばれる不純物が入っていると困る
という話が出ましたが

点灸用は米粒の大きさのお灸なので、ゴマがあると温度が上がります。
狙った温度より高くなるので、鍼灸師からは嫌がられる場合があります。
温灸モグサならゴマが入っていても元々高温のモグサなので、気にはならないです。
山正さんで販売しているモグサは
点灸モグサ(雪の華、黄金山、大極上、福寿、養命、ヒマラヤ艾)
灸頭鍼用モグサ(雲龍、若草、月光、明星、長安1号、長安2号)
温灸用モグサ(長安乙級、長安甲級、極上温灸、並温灸)
など
鍼灸学校では黄金山を使っていたので、卒後黄金山を使う先生は多いかもしれません。
最近ではランクを下げて福寿を使っている学校もあるそうですが。
学校や職場で使っていたから使う
というのはよくありますが、色々なモグサを使い比べて自分に最も合ったモグサ
を調べるのも良いと思います。
お灸はどうやって作られる?


昭和20年代に販売されていた蝋燭の空箱に入った艾だそうです。実家の古い救急箱に入っていてメーカーなどは不明です。昔の人は救急箱に艾を入れていたのでしょうか。
昭和の時代は家でお灸を据えるのは普通と言われていますが
今は家庭でお灸をすることは激減しています。
有名なのはせんねん灸と思いますが
せんねん灸は商品名ではなく、会社名になります。
一般の方がお灸(もぐさ)というのはどんなものなのか?
知られていないことが多いと思います。
もぐさはヨモギ
になります。
ヨモギはよもぎ餅で食べたことがある方も多いと思います。
よもぎは身体を温める成分や「ちどめくさ」とも言われています。
怪我をした部位にヨモギを貼ることで血がとまると言われています(私は試したことがないです)
本題のモグサの話に戻りますが
川辺などのヨモギを取り
天日乾燥させます。
その後
乾燥機で乾燥させます。

写真は乾燥したヨモギを入れる箱でその後ろが乾燥機になります。
乾燥したヨモギを石臼にかけますが
夏場に行うと湿気が多く、せっかく乾燥させた艾がすぐに湿気を取り戻してしまうので
モグサ作りは冬場に作ります。
山正は1月〜3月頃だそうです。
その時期は工場見学ができないです。

乾燥したヨモギは石臼で粉末にします。
石臼は3種類あり、1番臼、2番臼、3番臼と
荒さが変わります。
山正のモグサも種類により
1番臼、2番臼、2番臼、3番臼
など何度も行うことがあるそうです。
写真の青い缶は石臼にかけたモグサを1日保管するそうです。
なぜか?と思うかもしれませんが
モグサは乾燥しているため火が出やすく
缶に入れておくと燃えた場合も缶ないの空気がなくなり勝手に鎮火します。
もちろん燃えたモグサは使えなくなりますが
全て燃えるよりは良いですね。

石臼の次は長通しを行います。
長通しまたは円通しとも呼ばれています。
この中は竹で作られていて回転して粉を落とします。
石臼の段階では粉も一緒に缶に入れるので、総量は変わりませんが
長通しでは3分の1ほどに量が減ります。
長通しは中にモグサを入れると放っておく勝手に出てくるので、入れると放っておくそうです。

長通しにかけたモグサは最後に唐箕をかけます。
唐箕は数時間かけ続けます。
唐箕は3種類あります。

唐箕についている板は上に上がり

モグサにならない粉末?は下と横から出ます。

モグサの色が違うのは色々なモグサを唐箕にかけているので色の違いが出るそうです。
長通しから出る粉末は鳥の餌などになるそうですが
唐箕の粉末はゴミになるそうです。
実際に触ってみましたがモグサとは違うものでした。

写真の箱のモグサはネパールモグサです。
ネパールのヨモギを日本の道具(石臼、長通し、唐箕)でモグサにしています。
山正さんの商品で黄金山という高級モグサがありますが
同じ作り方をしたのがネパールモグサです。
参加者からは「売り物ですか?」
という言葉が出ましたが
場が和みました^^
売り物です。笑
最高級のモグサは100キロの乾燥ヨモギから3キロしかできず
ほとんどがモグサになりません。
全て破棄されるのではなく、鳥の餌になったり健康食品のサプリメントになるとか。
鍼灸師もお灸をしない人が増えていますが
山正さんはお灸を使う鍼灸師が少しでも増えてほしいと
工場見学をしていただいています。
鍼灸師は鍼とお灸を出来る資格ですが
鍼はほぼ100%使うことが多いですがお灸を使う鍼灸師は少ないです。
鍼灸師がお灸を使うことで、伝統的な施術が残せると思っています。
モグサの製造時期でなければ工場見学も受け付けていますので
ご興味がある鍼灸師や学生さんはぜひ山正さんにご連絡ください。
学校単位でも受け付けてくれています。

工場見学の最後に熟成モグサの話もなりましたが
熟成艾として商品も出しているメーカーさんもありお灸をする先生はご存じの方が多いのではないかと思います。
実際は熟成したら良いか悪いかはよく分かっておらず
鍼灸師の先生の好みもあると思います。


赤い箱が2025年度購入の黄金山で、左の大きな箱が10年弱前に購入された黄金山
右箱が購入日は不明との事ですがもっとも古い?黄金山です。
写真では分かりづらいかもしれませんが右の箱の艾が1番色が濃くなっています。
熟成モグサは油分が飛ぶから温度がマイルドになる
という話も聞きます。
私の持論にはなりますが
新しいモグサは潤いがあり、熟成モグサは乾燥が強い
鍼灸師の手が乾燥している人は潤いがあるモグサが合っていて
手が潤いがある方は乾燥モグサが使いやすい
という可能性もあるのではないかと思います。
患者さんでモグサを使い分ける
というのもやっています。
まとめ
モグサの作り方は乾燥→石臼→長通し→唐箕の順でかけます。
学生さんは国試でも出るのかな?
一度見ておくと忘れないのでおすすめです。
縁里庵かつもと鍼灸院でも学生さんや鍼灸師が来院してくれた時は
時間があればお灸の温度測定をしてもらうこともありますが
慣れていない方は捻ることが苦手で
捻るのを失敗するとモグサをポイポイと捨てる方が多いです。
1gのモグサも作るのが大変なことも知ってほしいですね。笑
鍼灸師でお灸をしたい方はぜひ一度山正の工場見学をしてみてください。



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