おはようございます。
大阪泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院です。
今日は棒灸というお灸を使った実験をさせて頂きます。
棒灸は名前の通り棒状のお灸で、家庭で使うというよりは
鍼灸院で使う事が多いお灸です。
昔は鍼灸院で販売し、家庭で使っていただいていたという話も聞きますが
煙が多く現在の家庭で使うお灸はせんねん灸の方が主流になっています。
棒灸は日本で販売している中では数種類ありますが
その棒灸で燃え方が違うのではないか?
と思い実験してみる事にしました。
棒灸とは
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2022/09/1561D9E9-CF8C-47CD-BA5D-99D9CE5CC132.jpeg)
棒灸は、艾(もぐさ)を和紙で巻いて棒状にしたものです。
火をつけると線香のようにゆっくりと燃えていきます。
その燃えている部分を皮膚から3,4センチほど離して使用しますので、やけどの心配はありませんが
手で持つと不安定になりやすいので、写真のような専用の道具を使う事が多いです。
棒灸は温灸と呼び、肩や腰はもちろん首筋、手や指、お腹、足先や足裏など様々な個所を心地よく温めることができるので、温灸と呼ばれます。
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/04/6CE7B2EC-F25B-45B9-A977-296CF3C8A9C9.jpeg)
指の腱鞘炎で棒灸を使用した写真です。
棒灸の種類
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/73D5A2A0-FF6C-4CEE-A1A5-243440895CD3-e1685948433113.jpeg)
今回実験で使用した棒灸は日本で販売している
irodori
太乙薬條
の2種類と
私が中国で購入してきた
純艾条
の3種類で実験してみました。
今回の実験を行おうと思った理由は
普段縁里庵かつもと鍼灸院では純艾条を使っているのですが
irodoriを使ってみて、純艾条よりも早く燃える事に気づき
各棒灸で燃えるスピードがどれだけ違うのか?
試したくなったからです。
何故棒灸の燃えるスピードが違う?
![ヨモギ/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2022/12/A2BEFCF5-6D94-4A14-96B1-DC5411C56571.jpeg)
モグサはヨモギから作られますが
葉っぱの裏に白い綿がありその綿を使ったお灸が
良質なモグサと言われています。
現在の鍼灸学校の教科書ではキメの細かいモグサというみたいです。
白い綿は空気が沢山含んでいるので、早く燃えるという性質がありますが
葉っぱはゆっくり燃える性質があります。
棒灸は白い綿ではなく、葉っぱの部分が多く
ゆっくり燃える事が多いです。
早く燃える棒灸は良質なモグサを使っている(キメの細かい艾を使っている)という事で
悪い事ではないですが
鍼灸施術で気を付けないといけないのは
ゆっくり燃える棒灸に慣れていると早く燃え過ぎて
専用の道具からは棒灸が落ちる可能性もあるのではないか?と思っています。
ベッドが数台あるとそんな危険もあるので、実際に違いがあるのか?
ただの思い違いなのか?実験してみました。
棒灸の燃える速さ
実際に棒灸3本を置き
同時に燃やしてみました。
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/6CC94A5F-B2C3-4A4A-99C9-ACF2F9DFBEE3.jpeg)
1人で3本のライターを使おうとしたら出来なかったので
2本のライターで棒灸に火をつけてみました。
1番燃えやすかったのがirodoriで、1番燃えにくかったのは太乙薬條です。
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/D37D68B6-C5D3-4D46-869C-C8700F77729B.jpeg)
早く燃えたのはirodoriで、1番ゆっくり燃えたのは太乙薬條です。
純艾条はその中間といったところだと思います。
太乙薬條はもぐさ、丹参、当帰などが入っているので、燃えにくいのかもしれませんね。
太乙薬條検索してみると動物病院でも太乙薬條の棒灸を使用している病院もあり
専用の道具を使う事で動物でも棒灸を安全に使用することが出来ます。
家庭では煙が出るので、棒灸は使いづらいかもしれません。
鍼灸師は人に鍼灸を行う資格になり
動物に鍼灸を行うには獣医師の資格がいります。
最近では動物病院で鍼灸を行う所も増えてきたので、動物に鍼灸を施術してほしい時は
動物病院にご相談すると良いと思います。
実際に棒灸を切り取り
中のもぐさを見てみると
irodoriが1番良いモグサを使っているのが分かります。
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/C78B539B-7686-4C13-9669-39553FE3377D.jpeg)
色が綺麗で、不純物(枝など)が入っていないものが良質(キメの細かい)お灸になります。
①太乙薬條
②irodori
③純艾条
キメの細かいお灸の方が香りも良いです。
棒灸の温度
専用の計測器でirodoriと純艾条を計測してみました。
棒灸はせんねん灸と違いなだらかな温度変化があるのが特徴ですが
違いはあるのか確認してみました。
純艾条の温度
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2022/12/D23B591C-6F5A-4793-BE9B-2E0DC59C6678-scaled.jpeg)
純艾条はゆるやかに温かくなるのがよくわかります。
体温よりも低いですが、実際の臨床では10分から15分の使用でも
皮膚を触ってみるとかなり温かくなっているのが棒灸の特徴です。
irodoriの温度
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/irodori.jpg)
irodoriは純艾条に比べ温かくなるのが早いのが特徴になります。
8分で体温を超え45℃近くまで温度上昇が確認できました。
実際に使ってみると同じ20分程度行っても熱いという感じが私には感じられませんでした。
心地の良い温かさなので、どちらも気持ちが良いお灸です。
早く熱感が感じる事が出来るので、施術時間が短い方はirodoriの方が良いのかもしれません。
まとめ
モグサの質 | 燃える速さ | 値段 | |
irodori | キメの細かい | 早い | 1250円 |
太乙薬條 | キメが荒い | ゆっくり | 838円 |
純艾条 | キメが荒い | ゆっくり | 80円 |
値段はirodoriと太乙薬條がトワテックさんでirodori棒灸MOEGIの値段になります。
太乙薬条は販売会社で値段が大きく違いやすい所では500円から2000円近くの差があります。
中身はたぶん変わらないので、安く変える方が良いかもしれませんね。
500円代で買える所は10箱以上と制限があったと思います。
純艾条は私が中国に買い出しに行ったときに購入したものです。
80円と安いですが交通費やホテル代など旅費は含まれていません。
たまに原価で売ってほしいと相談を受けますがお断りさせていただいています。
中国では漢方薬を含んだ棒灸が多数販売しており、漢方の種類によって
棒灸の効果が違うという差別化しています。(値段もピンキリです)
実際に効果の違いがあるかは分かりませんので
純艾条を購入して使用しています。
実際にirodoriを燃やしてみると
30分近くは落ちることがなく
![棒灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/06/4B57206F-59B3-4765-8B29-10A325581328.jpeg)
患者さんが動きなどがない+通常の施術で30分以上施術ベッドから離れない方なら
安全ではないかと思います。
もちろんやエアコンなど風の強さなどで、燃え方に違いはありますので
気を付けてご使用してください。
棒灸は定期的に灰を落とし調整してあげる方が効果的+安全に使用できます。
今回は実験なので、マネはしないようにしてください。
![](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2022/05/smoke_white4.jpg)
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