トリカブトのお灸「附子灸」

附子灸

おはようございます。

泉佐野市縁里庵かつもと鍼灸院です。

実は登録販売者の資格もあり

漢方相談も少しできる人です^^
今日は漢方も話に出てきますが
珍しいお灸をご紹介させて頂きます。

目次

附子

附子/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院

というのは聞いたことはありますか?

まずは読み方から書きますね。

附子(ぶし)

と呼びます。

有名なのはトリカブトですね。

附子/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院

毒草です。

この附子は漢方薬でも使うことがあり

毒にも薬にもなります。

また附子は狂言にも使われていて

ある家の主人が「附子という猛毒が入っているから桶には近づくな」と使用人に言い家を出
使用人が興味を持ち桶を開けて、食べてみると美味しかったので全て食べてしまった。
中身は附子ではなく、当時貴重品だった砂糖だった。
しかし、全て食べてしまい主人に怒られると思い
主人が大切にしていた掛け軸と茶碗を割り
死んで詫びようと附子(砂糖)を食べて謝った
という話にもなるくらい有名な物です。

附子灸

漢方薬にもなると言いましたが
お灸道具としても使えます。
写真は附子餅と呼ばれる
附子を練り込んだもので
配合は秘伝になるとか
今はほとんど手に入らなくなりました。
ネットで調べても
使っている人は師から頂いた
という話が多かったです。
ということで使ってみました♪

附子灸

お灸の下に附子餅を置き火をつけます。
このやり方は膈物灸と言います。
膈物灸は他にも

などがあります。
私も上記の膈物灸は知っていましたが
附子灸は初めて知り
薬剤兼鍼灸師の先生に聞いてみたとこと
譲って頂きました。
実際に使ってみると
8分程度はじんわりと温かいですが
少しずつ熱くなります。
もう我慢できないかな?
と思い取り外しましたが
附子灸の外側は熱くなかったです。
これは中心部(お灸が燃えていた部分)のみ熱くなり
お灸が当たっていない外側は熱くなかった
のでしょうね。
韓国の黄土灸

黄土灸

は全体的に熱くなるので使い勝手が悪かったのですが
附子灸の方が使い勝手は良さそうです。
上述した膈物灸は
にんにくやしょうが
など身体を温める成分が多いと思います。

附子はめちゃくちゃ身体を温める薬草になります。
というのも
漢方薬で有名な葛根湯
微熱剤なんですね。
少し身体を温める
そんな薬です。
附子は
めちゃくちゃ身体を温める薬なので
風邪の初期に使うと
温めすぎで毒になります。

しかし、重病になると身体が冷え
だんだんと力がなくなってきます。
その状態を東洋医学では
冷えの極まる
という状態で
こんなときに葛根湯では温まりません。
附子を含んだ漢方薬を飲むことで
冷え切った身体を一気に温めることで
蘇生させる
というイメージのお薬です。
お灸でも同じで
冷えからくる痛み
に良い膈物灸になります。
1番良いものを使って欲しい
と言われることもありますが
その方々の体調や性質を持っているので

鍼やお灸を合わせる

ということが1番大切なんですね^^

先日Yahoo!ニュースで附子灸の事が紹介されていました。
鎌倉殿の13人で
「北条義時の死因」は脚気の治療に用いた「トリカブト」の中毒だった?
という記事です。
北条義時の内容は省いてトリカブトの話だけをご紹介しますね。

附子灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院
附子灸/泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院

記者の方の空想ではありますが
「日常的に微量にトリカブトを取り続けると致死量に達する」
とありますがトリカブトは微量ではなく、致死量は2~6 mg(書籍により多少異なる)
になり例えば漢方薬の真武湯(しんぶとう)を飲み続けたら致死量に達するのか?
というとそうはなりません。
体外に排出されるからです。
体内の吸収率と附子灸など体外からの吸収は
体内の方が吸収率が高いので、慣れていない時代でも体外からの吸収で致死量に達する
とは言えないのではないかと推察しています。
もちろん傷口に塗るなどしたら別です。
ヒ素も毒薬で有名ですが接種を続ければ、やがて致死量に達するのはヒ素です。
記者の方は勘違いをされているのかもしれませんね。
トリカブトの漢方薬は熱処理で毒性を抑えたりしているので、安心して飲んでください。

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