おはようございます。
大阪泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院です。
今日は黒焼きの研究をご紹介させていただきます。
縁里庵かつもと鍼灸院は鍼灸の資格だけではなく、登録販売者の資格もありますので
薬を扱う事が出来ます(届け出は出していないので鍼灸院では出せないですが)
そんな感じから最近は廃れてしまった黒焼きを研究しています。
黒焼きは民間薬なので、登録販売者の資格は関係ないかもしれませんが
薬事法的に〇〇に効果があるとは言えず
期待出来ると言われている効能
という形でご紹介しますね。
本当に効果があるのか?実体験をしながらご紹介させていただきます。
マムシの黒焼きも追加しましたが
写真はマムシが掲載されていますので、爬虫類が苦手な人は
見ない方が良いかもしれません。
黒焼きとは
民間薬の一種。爬虫類,昆虫類など,おもに動物を蒸焼きにして炭化させたもので,薬研(やげん)などで粉末にして用いる。中国の本草学に起源をもつとする説もあるが,《神農本草》などにはカワウソの肝やウナギの頭の焼灰を使うことは見えているものの,黒焼きは見当たらない。おそらく南方熊楠(みなかたくまぐす)の未発表稿〈守宮もて女の貞を試む〉のいうごとく,〈日本に限った俗信〉の所産かと思われる。《日葡辞書》にCuroyaqi,Vno curoyaqiが見られることから室町末期には一般化していたと思われ,後者の〈鵜の黒焼〉はのどにささった魚の骨などをとるのに用いると説明されている。
引用元:コトバンク
今回参考にさせて頂いた書籍はは大正時代に販売されていた
(黒焼きの研究」です。
黒焼きの研究は漢字とカタカナで構成されているので
なかなか読みにくいですが
まだ読める本です。
梅干しの黒焼き
家庭ですぐに作れるのは梅干しの黒焼きだと思います。
という事で作ってみました。
アルミホイルはくっついてしまうので
くっつきにくいタイプを使用しています。
使用した梅は無添加の梅干しを使用しました。
しそ味です。
アルミラップでくるみ
真空状態を作ります。
土鍋の中に入れて土鍋のふちを小麦粉で空気の通り道をふさぎます。
これで真空状態の質を高めるみたいです。
4時間温め続けたらこのように真っ黒の梅干しになります。
このまま食べるのではなく
粉末にして食べるのですが
後で紹介しますね。
約4時間ではなく3時間30分ではダメなのか?
と実験してみました。
赤い部分が残っているのが分かると思います。
温めるのが不十分なんですね。
梅干しの黒焼きは最低4時間は必要だと思います。
梅干しの黒焼きの期待できると言われている効能は
冷え性改善
貧血
婦人科系に起因する不調(生理痛など)の緩和
疲労回復
風邪予防
お腹の不調の緩和
抗酸化作用
解毒作用
老化防止
認知症予防
血栓予防
動脈硬化の改善
がん予防
になるみたいです。
私も4週間ほど飲み続けていますが
疲労回復効果があるかな?
と思っています。
作り方はすり鉢で砕き
ミキサーでさらに細かくします。
粉末になったのはこちらです。
黒焼きというだけあり、真っ黒という話も聞きます。
今回はしそ味だからか空気が入ってしまった成果は分かりませんが
グレー色になっているので、失敗なのかもしれません。
味は酸味と塩味が感じられ意外と美味しく
患者さんにも食べて頂きましたが美味しいと驚かれていました。
ナスの黒焼き
ナスの黒焼きを作ってみました。
ナスの黒焼きは江戸時代で使われていた歯磨き粉と言われています。
ナスの黒焼きはヘタだけ使います。
今回はお試しなので1つだけですが
作るなら多く用意した方が作る手間を考えると良いと思います。
完成後は天然塩を焼き塩にして混ぜると良いみたいです。
ナスの黒焼きの効能
昔から、口内の健康を守るため、歯磨き代わりに使われてきました。
炭と塩の働きにより、口臭を除き、歯ぐきを引き締めます。
歯槽膿漏予防や、歯痛、口内炎のお手当てにもお使いください。
今回も同じようにアルミに巻き土鍋に入れて行いました。
今回は短い時間でも大丈夫と書いているのもあれば、4時間はかかると書かれているのもあり
とりあえず4時間で行ってみました。
真っ黒になっています。
すり鉢に入れて
細かくしてみました。
実際に使えるのはこの量になります。
ナスのヘタは捨てず乾燥させて置いておき
一気に黒焼きにする方が効率は良さそうです。
鹿の角の黒焼き
次は鹿の角の黒焼きをご紹介します。
大分から鹿の角を送って頂きました。
何時間行う必要があるのか?
時間など書かれたものがなかったので
1度目は8時間40分行いました。
梅干しの黒焼きと同じように土鍋に入れて
8時間40分経った後はこちら
香りは骨っぽい感じの香りがします。
鹿の角は最低10時間必要だと書かれている文献を見つけ
次回は約12時間行いました。
長時間行うので、2本作ってみました。
別々にアルミホイルをつつみ土鍋に入れ12時間温めました。
出来上がった鹿の角はこちらです。
小さい方を砕こうと思いましたが
意外と硬く、炭化しているので砕きやすいと思っていました。
小さい方の角をミキサーにかけると硬く粉末に出来ない部分もありました。
角とは違う部位なんでしょうね。
取り出した塊はこちら
鹿角の黒焼きの効能は
黒焼きの研究では貼る事や飲む事など色々書かれていました。
今回注目したいのは腎虚の腰痛です。
腎虚は生殖器系が弱い人
というイメージが分かりやすいと思います。
腎虚の人はへその穴が黒くなりやすい傾向になります。
私も体質的に腎虚があるので、鹿角の黒焼きを飲んでみようと思っています。
ちなみに飲み方は酒に入れて飲む
と書かれていました。
酒は多少時代で考えるとワインやウイスキーより日本酒なのかな?
と思っています。
鹿の角の黒焼きの味は骨っぽいです。
味はほとんどありませんでした。
マムシの黒焼き
お世話になっている漢方薬局の先生から
乾燥マムシを頂きました。
せっかくなので、伯州散(はくしゅうさん)を作る為に
マムシを黒焼きにしてみました。
伯州散はマムシ、鹿の角、津蟹を黒焼きにして作る漢方薬です。
さすがに生のマムシは手に入らなかったので、乾燥マムシを使います。
ちなみに筆者は爬虫類は苦手です^^;
乾燥マムシをアルミホイルに巻き
土鍋に入れていきます。
ふたを閉め小麦粉をふちに入れ
空気を入らないようにします。
本当なら前日にしておき乾燥させた状態で行うみたいです。
動物性の黒焼きは特に匂いが強いため患者さんが入らない
換気の良い部屋で温めました。
脱臭機や空気清浄機も使っています。
今回は乾燥マムシだったので、もともと乾燥しているので
短時間で出来上がりました。
乾燥していない状態なら10時間以上は必要ではないかと思います。
黒焼きになったマムシです。
独特の香りがします。
しかし想定外の事が起こりました。
マムシがすり鉢より大きかったので入りませんでした。
仕方がないので、マムシを折り
すり鉢に入るように砕きました。
※筆者は爬虫類が苦手です。
細かく砕いた後
更にミキサーで粉にします。
すり鉢の工程はいらないのではないかと最近思っていますが
マムシの黒焼きが出来上がりました。
独特の香りと味がします。
マムシの効能としては
民間療法では黒焼きやマムシ酒にして、疲労回復や冷え症(冷え性)などにも用いられています。最近の研究ではハンピの有効成分に、強心作用、血球数および血色素を増加させる作用があることがわかっています。明治以降、マムシを滋養強壮剤として用いることが増え、現在でも多くの滋養強壮ドリンク剤に、ハンピチンキとして配合されています。薬酒でハンピを服用すると、ハンピ内のアミノ酸などのさまざまな有効成分が、アルコールによって効率よく抽出され、吸収されやすくなる利点があります。
引用元:養命酒
マムシの黒焼きの効能としては
マムシの黒焼きの効能
引用元:和方医学研究所株式会社
外用(切り傷、化膿止め)
内服(滋養強壮)
マムシの黒焼きは1匹7560円ほどするみたいです。
なかなか高価なものになります。
滋養強壮に効果があるとの事なので、お試しで飲みたい方は
縁里庵かつもと鍼灸院までご来院下さい。
素人が作るものなので、保証は出来ませんが・・・
鹿の胎仔の黒焼き
鹿の胎仔の黒焼きをご紹介します。
黒焼きの研究の書籍でも猪の黒焼きが偽物として出てくるくらい
珍しいものです。
黒焼きではなく、白焼きという事が正しいみたいです。
調べていると日本の伝説と言われているPDFもありました。
出典が載っていないのでご紹介だけさせて頂きます。
大分の竹カゴ温灸を作られている職人さんから送って頂きました。
大分では害獣として、捨てられていたお肉などを何とか活用できないかと
活動されている職人さんです。
Twitterで知り合い捨てるものを漢方に出来るのなら
とお譲り頂きました。
内臓だけ取り出してもらい送って頂きました。
内臓は残したまま黒焼きにする
内臓は取り出したまま黒焼きにする
書物により違いましたが
今回は内臓なしで試しました。
届いた鹿の胎仔です。
届いたときはやはり可哀そうと思いました^^;
黒焼きにする時は脳みそはどうなるんだろうかと思い
包丁で切ろうとしましたが
当院の包丁では切れず諦めました。
いつもと同じように
アルミラップにくるみ
黒焼きを行いました。
今回は13時間温めました。
香りは独特の香りがしました。
窓を開けて扇風機で流していましたが
他部屋にも匂いが充満していました。
出来上がった鹿の胎仔はこちらです。
ミイラみたいですよね。
鹿の胎仔の期待できる効能
外傷
痔
安産
産前産後の腹痛
産後の舌の腫れや口の粘り
産後の貧血
産後の肥立ち(養生)
女性の不正出血やおりもの
諸出血
感染病(ハンセン病、天然痘、結核)
精神病
左が鹿の胎仔の黒焼き右が1回目の梅の黒焼きです。
味は肉感があり、意外と美味しいです。
骨の部分も粉末にして飲みましたが
骨だなという感想です(笑)
捨てられる命が薬になるのなら良いかもしれませんね。
今はやりのSDGsなのかもしれません。
日本の伝説と言われる鹿の胎仔の黒焼きの報告でした。
まとめ
鍼灸と黒焼き
全然関係ないかもしれませんが
中国や欧米などは医療として認められている鍼灸は日本では鍼灸も医療の枠組みからいれられておらず
黒焼きも民間薬という位置づけで怪しい
と思われています。
しかし、「怪しい」で終わらせるのではなく
「本当なのか?」を調べる事が大切なのではないかと思い今回ご紹介しました。
私の鍼灸の考えも本当に効果があるのか?
を考え実体験で効果のあるものだけを採用しています。
黒焼きは石油ストーブに土鍋を置き作っているので
4月末までの実験になります。
コメント