おはようございます。
大阪泉佐野市の縁里庵かつもと鍼灸院です。
今日はピコリナVS中国式パルスをご紹介させていただきます。
ピコリナとパルスというのは鍼に電気を流す機械です。
身体に電気刺激を流す事で血流をアップさせるという機械になります。
日本で販売しているパルス機では小型で持ち運びしやすいのはピコリナだけです。
中国でも小型のパルス機が販売されていて、輸入して日本でも販売している人もいますが
ピコリナとどう違うのか?
をまとめているサイトはないので、今日は性能の違いや鍼灸の学生さんに協力して頂き体感の違い
をご紹介させていただきます。
ピコリナとは
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/5B24851B-A88A-491C-B5EA-6BB94827E9D5-e1698046975177.jpeg)
セイリン社が販売しているハンディタイプの鍼電極低周波治療器です。
深部まで刺激が浸透し筋肉系の故障予防、施術時間の短縮が期待できます。
ピコリナの特徴
定電流出力方式
FINEモード
2CH独立出力
プログラム保存機能
4種類の出力モード
何より小型で軽くデジタル表示が使いやすいです。
①定電流出力方式
・通電強度を数値(mA)で設定・把握が可能→刺激量の定量性UP、情報の共有化
・筋の動きによるインピーダンスの変化にも左右されない安定した施術電流を配給
・電流波形の波形の乱れを制御
インピーダンスとは、交流回路における電気抵抗の値を指します。インピーダンスの値が高くなるほど電気が流れにくくなるため、インピーダンスは交流回路における電気の流れにくさを表しています。インピーダンスを表す量記号は「Z」、単位は直流回路と同様に「Ω(オーム)」です。
引用元:Tech Web
②微細出力調整機能(FINEモード)
患者に合った優しい施術が可能で、敏感な部位への施術に最適です。
・定電流による微弱電流刺激(0.01mA~)が可能
③2CH独立出力
チャンネルごとの個別設定ができるので施術の幅が広がります。
・閾値の異なる身体部位の施術が同時に可能
・異なった効果のある施術を同時に同じ部位に可能 急性+慢性など
④プログラム保存機能
5種類の個別プログラムを作成・保存が可能なので、設定の手間が省けて効率的
⑤他社と異なる出力モードを搭載
コンスタントの他に
バースト、スティーブ、モジュレーションを搭載
⑥パルス幅が可変
50~250まで50毎設定が可能
※他社製品はパルス幅200又は250で固定されているため可変出来ません。
・症状に合わせたパルス幅の設定が可能
⑦鍼電極専用クリップ(ピコクリップ)
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/872A897F-3AA1-4482-8AB9-F4280FFF992F.jpeg)
・鍼が当たる部分が面なので、確実に挟むことが出来る
・ストッパーがあるので、鍼をつかむ位置決めが容易
・ケーブルから脱着でき、洗浄とオートクレーブ処理が可能
ピコリナは63,580円です。
※2023年10月現在
中国式パルスとは
![中国パルス](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/5BA2D1B4-AD62-421B-B9BA-FEC5CCF82D5B-e1698047143919.jpeg)
中国で販売しているパルス機で、ピコリナと同じハンディタイプになります。
タッチパネルではありませんがデジタル式なので、刺激量などの調節は同じ強さにする事は簡単です。
別名ピコリナ風パルスと呼んでいます。
どちらが先に販売したのかは分かりません。
日本でも輸入して販売している人やピコリナと変わらないと言っている先生も見かけたので
違いを調べる事にしました。
中国パルスの特徴
連続波
疎密波
断続波
3種類の出力があります。
1Hzから100Hzまで調節できます。
2CH独立にはなっていないので、2CHは同じHzになります。
中国から輸入をすると本体価格は3500円ほどで送料がかかります。
日本で輸入して販売している方は1万円から1.4万円で販売されています。
ピコリナとの値段が違うので、性能が違うのは仕方がないと思います。
中国パルスの特徴ではありますが
クリップが使いづらいです。
またパットもついていので、低周波治療器のようにも使用できます。
![クリップ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/E10D7721-DACF-45C7-8158-882FC844616D-e1698049127481.jpeg)
上が中国パルスのクリップで、下がピコクリップです。
中国パルスのクリップは鍼をつかみにくく
鍼を挟む力が強く、鍼が曲がったことがあります。
![クリップ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/B9C21802-A52A-4418-88C7-B4D8DEEC661A-e1698049194911.jpeg)
根本部分を付け替える事で低周波治療器のように使用できます。
中国パルスの安全性は?
意外と盲点なのは中国パルスの安全性です。
私も臨床で使用する事は少ないので、使っていて危険を感じたことはありませんが
損害賠償保険の会社に確認してみました。
今回伺ったのは日本治療協会の方です。
![](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2020/05/img_6711-300x200.jpg)
以前4社ある賠償保険会社を調べたことがありますが
普段臨床で行われている手技が賠償保険の会社で対応していない
事もあります。
今回は中国パルスが対応できるのか?
確認してみました。
ご質問の件、海外で購入されたパルス機が医療用であれば有事の際に本会保証制度の対象となります。
と日本治療協会さんの解答でしたが
そもそも中国パルス機は医療用なのでしょうか?
説明書はなくしてしまい
箱しかなかったのですが
中医学大学と医療品の会社の共同開発とは書いていました。
たぶん医療用ですが確証はありません。
使用には注意してご使用ください。
また日本治療協会さんの返答になりますので
他の賠償保険の会社の担当者さんに確認する方が良いと思います。
ピコリナと中国電気の感覚の違い
![ピコリナと中国パルスの違い](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/F655F1BA-D472-443F-A012-D245FF150511.jpeg)
パルスは電気を流す機械ですが
電気が流れれば良い
というわけではなく、電気の感じ方が違ってきます。
今回は鍼灸の学生さん数名にお願いして、ピコリナと中国パルスの感覚の違いをご紹介します。
学生①
ピコリナの方が電気の刺激が柔らかった気がします。
中国パルスは少し鋭い感じでした。
個人的にはピコリナの刺激の方が好みです。
学生②
ピコリナの方が繊細なかんじがして、ドスドスとこないかんじです。かといって刺激がないわけではないです。
中国パルスはピコリナに比べると荒いように感じます。
私はピコリナの方が心地良いです。
学生③
中国パルスは痛みが強く刺激的でした。
ピコリナはマイルドで穏やかな刺激でとても優しく感じました。
効果が変わらず、且つ選べるのならピコリナがいいですね
どちらも温感は特に感じられずでした。
学生④
中国パルスのほうが刺激量が多く、ピコリナの刺激は優しく心地良いことを再認識しました。
ピコリナは電気の感じ方は優しい、心地よい、穏やか、繊細という反応があり
中国パルスは刺激量が強い、痛みが強い、荒い、鋭い
という意見がありました。
私も同意見です。
ピコリナと中国パルスの皮膚温
![中国パルスとピコリナの違い](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/69715887-8AC7-4D51-8907-EA4A12854236.jpeg)
ピコリナと中国パルスの電気を流し、サーモグラフィーカメラで皮膚温の上昇を
確認してみました。
今回試したのはピコリナはスウィープモード
中国パルスは疎密波
で試しました。
学生さん数名に手三里と合谷に鍼をして、電気を流しました。
右腕ピコリナ2回、左腕中国パルス2回
右腕中国パルス2回、右腕ピコリナ2回
3分間の施術で変化があるのか
を調べてみました。
学生①
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/DAA6BD92-6DA8-44B4-BA85-80F937AC338B.jpeg)
今回は電気を流す前と流している間の最高温度、使用後の温度変化を紹介します。
使用前33℃
最高温度35.2℃
使用後34.2℃
![中国パルス](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/4513CC60-F687-4BF3-8DBF-E737A0EAAD70.jpeg)
使用前33.6℃
最高温度33.9℃
使用後33.5℃
ピコリナでは使用中2℃近く、使用後は1℃の上昇がみられましたが
中国パルスではそこまでの変化はありませんでした。
個人差もあると思うので、他の学生さんにもお願いし
違いがあるのか?
調べてみました。
学生②
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/E71B6B09-B063-4ADB-A800-B87BB9023577.jpeg)
右腕ピコリナです。
使用前33.7℃
使用後34.3℃
使用中の最高温度はクリップに当たり温度測定が出来なかったので省いています。
![中国パルス](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/49240D93-E3A4-4526-A131-B2656E4C6CC3.jpeg)
使用前33.1℃
最高温度33.5℃
使用後33℃
学生③
![中国パルス](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/E0F0265C-99A2-488C-B395-218934317172.jpeg)
右腕中国パルスです。
使用前33.2℃
最高温度33.9℃
使用後33.2℃
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/10C418DB-9159-4EA6-B186-51B6700FFC86.jpeg)
使用前33.1℃
最高温度34.1℃
使用後32.6℃
学生④
![中国パルス](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/129AD8CB-3DDF-4A09-BB5D-796D621F8A4D.jpeg)
右腕中国パルス
使用前33.3℃
最高温度34.1℃
使用後33.6℃
![ピコリナ](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2023/10/CFA38DDA-59CD-4E8C-B5F4-5270DB10BE04.jpeg)
使用前33.3℃
最高温度33.6℃
使用後32.5℃
最後のピコリナに関しては最高温度から使用後は腕が動いているために
参考にはならないと考えています。
今回の統計からは削除させていただきます。
皮膚温まとめ
使用前 | 最高温度 | 使用後 | |
ピコリナ | 33℃ | 35.2℃ | 34.2℃ |
33.7℃ | 34.3℃ | ||
33.1℃ | 34.1℃ | 32.6℃ | |
中国パルス | 33.6℃ | 33.9℃ | 33.5℃ |
33.1℃ | 33.5℃ | 33℃ | |
33.2℃ | 33.9℃ | 33.2℃ | |
33.3℃ | 34.1℃ | 33.6℃ |
全て計測できたわけではありませんが
ピコリナの方が最高温度が高くなる傾向にあります。
中国パルスは最高温度はそこまで高くならず
使用後もそこまで変化はありません。
ピコリナは高くなる場合もありますが、下がる事もありました。
サーモグラフィーカメラも多少ズレると温度が変わりますので
参考程度と思ってください。
中国式パルスは安さが魅力ですが
実際に使う患者さんからすると効果や気持ちよさは下がると思います。
安い商品だから飛びつくのではなく患者さんの為にはどちらの商品が良いのか?
考える方が良いかもしれません。
![](https://katsumoto-shinkyu.com/wp-content/uploads/2020/04/2012-106.jpg)
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